アパレル業界人必見!ファッションビジネスで必要となる専門的な知識について解説しています。

有給休暇の義務化!5日以上取得は2019年から開始!年次有給休暇の取得義務制度

働き方改革の一環で、2019年の4月から年次有給休暇(以下、年休)の制度が変わりました。

一部の社員に対し、最低年5日間の年休を取得させることが会社に義務付けられます。

「たった5日」と感じられるかもしれませんが、全労働時間に対する影響は小さくありません。

制度の変更点と、講じておきたい職場の人事対策についてまとめてみました。

■年次有給休暇の制度は2019年4月からこう変わった

────────
まずは、年休の概要と、4月からの制度の改正点をおさらいしてみましょう。

●年次有給休暇の概要

・所定労働日数、勤続年数、出勤率に応じて付与される有給の休暇制度

・最大20日の付与日数があり、付与された日から2年間有効

フルタイムの労働者だけではなく週1日や短時間勤務のパート労働者にも与えられる

 

【ココがポイント!】

年休は、入社後6カ月経過したときを初回として、以後1年経過するごとに、所定労働日の出勤率が8割以上の社員に付与されます。

所定労働日数、勤続年数に応じて決まる付与日数は、最大で20日。

年休は付与された日から2年間有効です。

正社員はもちろん、所定労働日数が短い社員にも、年休はあります。

例えば週4日勤務のパートなら7〜15日、週1日勤務なら1〜3日が勤続年数に応じて付与されます。

●2019年4月からの主な制度改正点

・年休が10日以上付与された社員には、年5日間取得させる
・管理簿を作成して保存する
・違反した場合の罰則がある

【ココがポイント!】

年休が10日以上付与された社員には、付与日から1年以内に5日の年休を取得させなければなりません。5日に足りない日数分は、本人の希望を聞いた上で、会社が取得時季を指定して取得させる必要があります。(使用者による時季指定義務)

この時季指定義務は、入社半年後の正社員ならすべてが対象に。

パートでも、週4日勤務では勤続3年半以上から、週3日勤務では勤続5年半以上から対象になります。

また、年次有給休暇管理簿を作成して、3年間保存しておくことが義務づけられます。

年5日の年休を取得させなかった場合は、1人あたり30万円以下の罰金が科されます。

疲労回復、リフレッシュのために用意された年休。

制度改正によって取得の促進にさらに拍車がかかるでしょう。

とはいえ、取得日数をすぐに上げるのは、なかなか難しいもの。

会社が計画的に年休を指定できる「計画的付与制度」、原則1日単位のところを半日単位の取得にできる「半日単位年休制度」など、取得を促す制度を活用して、年休の消化率をアップさせるのも一案です。

■侮れない!? 「年休取得5日」の影響

────────

制度改正により、年休の取得率アップが進むのは大切なことです。

一方で、年休が確実に取得されるようになった場合、「総労働力が減少し、業務に支障をきたす」という大きなジレンマを抱える会社が出てくるかもしれません。

前述した条件を満たす社員が年5日年休を取るということは、年間労働日数を考えると年に2〜3%の労働力を失う計算になります。

これは会社にとって結構大きなインパクトです。

「5日」は最低ライン。年休をフルに取得させようと会社が努力すればするほど、労働力が減るのです。

これまでは想定されてこなかった「社員の年休取得による労働力の減少」。

これからは、労働力が減ることによって、次のような対策が必要になってくるかもしれません。

・ノンコア業務の効率化や人員配置の見直しを検討する
・チーム制をつくって、人員が欠けたときにカバーできるようにしておく
年休の取得予定を早い時期に把握してフォローできる体制を整える

 

年休は、原則として社員が希望した日に取得させなければなりません。

いつでも年休に対応できるようなゆとりのある人員配置やフォロー体制が求められています。