キュプラについて
繊維素材キュプラとは
キュプラとはスーツやジャケットなどの裏地などに使われる事が多く、レーヨンに似た素材です。
綿やポリエステルなどに比べると知名度が低く、ファッションに詳しくない人にとってはあまり馴染みのないものかもしれません。
キュプラとは、スーツの裏地に使われることの多い繊維素材
通称銅アンモニアレーヨンとも呼ばれる再生繊維の一つ。
高級なスーツの裏地によく使われます。
服の格を決める裏地。高級素材・キュプラ
なので、高級なスーツかどうかを見分けるのに、
裏地がキュプラかどうか調べたらわかります。
裏地の2大素材
裏地の2大素材として有名なのは、ポリエステルとキュプラです。
ポリエステルは、日頃からなじみの素材です。
ペットボトルもポリエステル樹脂からできています。
そう、ポリエステルの元々の原料は石油で、その糸は合成繊維です。
キュプラの歴史
今回紹介したいのは、もう一つの裏地素材として有名なキュプラの方です。
キュプラは知らない人も多いと思います。
昔は旭化成がテレビCMをやっていましたが、キュプラは、歴史は意外と長く、ドイツ・ベンベルグ社が開発した技術を1928年に旭化成が日本に導入し、独自の技術で生産性を高め、現在では旭化成が世界で唯一のキュプラ(ベンベルグ)メーカーになっています。
キュプラは、繊維の一般名称で、旭化成のキュプラのブランド名が、ベンベルグとなります。
キュプラの原料はコットンリンターという綿花の短い繊維
コットンリンターとは、綿花を採取した後の綿実の表面に密生している2~6mmの繊維のことで、本来は繊維としては使われないうぶ毛の部分です。
キュプラはレーヨンとよく似た生地
キュプラはレーヨンとよく似た生地ですが、レーヨンの原料は木材パルプなので原料は全く別です。
キュプラとは「銅」の意味
キュプラとは「銅」の意味なのですが、名前の由来は製造方法によります。
原料を酸化銅アンモニア溶液に溶かし、これをギャーポンプで凝固液中に押し出す銅アンモニア法という製法によって製造されています。この製法で作られた生地が「銅」という意味で「キュプラ」と名づけられました。
キュプラの特徴
実はエコな素材
化学繊維と聞くと環境に悪いイメージがあるかもしれません。しかしキュプラのような再生繊維は地球環境に考慮した優しい素材なので、最終的には土へと還ります。エコな素材のキュプラが使われた洋服を選ぶのは、エコ活動としても意味がある事なのです。吸放湿性や耐久力、耐摩耗性に優れ、生分解性があり、いずれは土に還るエコな素材です。
キュプラってどんな特徴があるの?
キュプラのメリット・デメリットについて解説します。
- キュプラのメリット
・絹に近い光沢感がある。
・染色性にすぐれ、色鮮やかに染まる。
・繊維が柔らかく、ドレープ性がある。
・吸湿性が高く、サラっとした肌ざわり。
- キュプラのデメリット
・シワになりやすい。
・水滴や雨によって、水ジミになることがある。
・レーヨン、ポリノジックに比べ、摩擦に強い。
キュプラのしわを取る上手なアイロンのかけ方!
キュプラは着ているだけでもシワが出来やすい素材であるため、シワを取るためにもアイロンは必須アイテムです。アイロンは「高・中・低」の3段階に温度設定が出来ますが、キュプラ素材はデリケートであるため、120℃以下の低温から中温に設定するようにします。
そして直にアイロンをかけるのではなく、綿100%のハンカチや手ぬぐいなどを当て布にして、その上からかけていくのがポイントです。シワが出来ている部分はアイロンを動かす手を止め、軽く押し当てるようにすると取れやすくなります。
ちなみに「水洗い可能」と表示されているものはスチームアイロンも可能ですが、「水洗い不可」とされている素材はヨレや縮みの原因になるため避けた方が無難です。
キュプラについてまとめ
高級スーツの裏地に使われることが多く、高級感があり、その品質は確かなものです。
キュプラ生地のデメリットは、お手入れが大変なこと。
家での洗濯は少しハードルが高く感じられるかもしれませんが、「手早く押し洗い」、「こまめに脱水」という点に気をつければ、少し汚れが気になる時も自分で洗濯出来るようになるでしょう。
不安がある時は、クリーニングに出した方が賢明です。自分にとって最適な方法でキュプラの衣類を大切にして愛用してください。