アパレル業界人必見!ファッションビジネスで必要となる専門的な知識について解説しています。

アパレル業界、コロナで倒産相次ぐ業界の未来

新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの企業が存続の危機に立たされている。特に、外食産業や旅行産業、航空産業が厳しいと言われているが、それらの産業同様に厳しいのが、アパレル・ファッション業界だ。大手アパレル企業のレナウンが民事再生を申し立てたのはたいへん大きなニュースになった。もともと不振ではあったが、コロナ禍によってとどめを刺された。今後、アパレル・ファッション業界はどのように変わっていくのか、解説していく。

新型コロナウイルス感染症で多くの企業が倒産

今、コロナウイルスで、多くの企業が苦境に立たされている。帝国データバンクの集計では、2020年度上半期の倒産は3955件となった。さらに倒産ペースが上がっているのが実情だ。

業界別にみると、飲食業37件、宿泊業35件に続き多いのが、アパレル・小売り関連企業である。実際、マッキンゼーの調査によると、日本の消費者のファッション関連の消費意欲は落ち込んでおり、外食と同様の水準にある。現時点ではやはり、厳しい状況にあるといえるだろう。

コロナウイルスで苦境に陥ったアパレル企業

では、どういったアパレルの企業が、新型コロナウイルス感染症で苦境に立たされているのか、具体的な事例を見てみよう。

アパレル大手レナウンが民事再生を申請

アパレル業界を驚かせたのは、1902年創業の老舗企業である「レナウン」の民事再生だろう。レナウンは現在、中国のファンドの資本下で経営を続けていたが、2019年12月決算で約65億円もの赤字を出し、そして2020年の5月に民事再生を行った。

レナウンが苦境に立たされた要因の1つに、親会社・山東如意科技集団の子会社への53億円の売掛金を回収できなかった、というものがある。しかし、2018年12月期の決算でも赤字を出しており、ビジネスの構造的に厳しい部分があったのも事実だ。主要取引先の百貨店がシュリンクする中、ビジネスモデルを変化することができず、売掛金の未回収、コロナショックが後押しする形となったと言えるだろう。

ジャパンイマジネーションのセシルマクビーは全店閉鎖

また、2000年代のギャル系ファッションを牽引していたアパレルブランド「セシルマクビー」も、2021年2月までに全店舗を閉鎖すると発表した。セシルマクビーを運営するジャパンイマジネーションは、複数のブランドを所有しているが、今後は事業を「アンクルージュ(ANK ROUGE)」「ジェイミー エーエヌケー(JAMIE エーエヌケー)」などの独自性の高いブランドに集約する予定だ。

セシルマクビーはギャル系と言われる渋谷の若者を中心に一世風靡していたが、トレンドの移り変わりとともにターゲット層が減少。比例して売上も徐々に減少していた。時代の流れとともに、ギャル路線からフェミニンカジュアルへの移行を図ったが、競合がひしめき価格戦争が起こるカジュアルファッション業界は厳しく、これも失敗に終わったと言える。

上場アパレル企業各社もコロナ禍では不振は多い

苦境に立たされているのはレナウンやセシルマクビーだけではない。上場しているアパレル企業12社のうち、直近の決算では、半数の6社が赤字に転落しているのだ。

たとえば、同じく百貨店を主戦場とする三陽商会は4期連続の赤字、同じくアパレル大手のオンワードホールディングスも大きな赤字に転落している。もともとアパレル企業が利益幅の小さい構造ではあることを考慮しても、大きな影響をコロナによって受けているといえるだろう。

海外ではコロナ禍により多くのアパレル企業が倒産

ファッション産業が不振なのは日本に限った話ではない。

アメリカでは、大手百貨店である、ニーマンマーカスが破産法適用を申請しているし、ヨーロッパでは、日本でもおなじみの「ローラアシュレイ」が、コロナを引き金に経営破綻している。7月に入ってからは米老舗紳士服ブランド「ブルックス・ブラザーズ」も破産法適用を申請した。コロナウイルスにより外出が自粛となり、そしてそれをきっかけに洋服の需要が減少するということは世界中で起こっているのだ。

ファッション産業はコロナショックを乗り切れるか

では、今後、ファッション産業はどのようになっていくのだろうか。代表企業の最近の業績をみていこう。

コロナ禍でも好調企業の代表例はユニクロ

ユニクロは19年9月が同4.2%減と落としていたことで数字が伸びた分もあるが、「生活必需品、まさに“LifeWear”としてニーズを捉えている」(広報担当者)。コットンや“エアリズム”素材のオーバーサイズTシャツなど、自宅でも外出着としても着られる夏物が、4~5月に休業していた分の在庫もあり売り上げをけん引した。月後半に気温が下がってからは、ニットや羽織りなどが売れているという。

コロナ禍で数少ない“勝ち組”アパレルに名を連ねるしまむら

都心部閉店のおかげで地元の店に客が帰ってきた。しまむらの主力業態「ファッションセンターしまむら」の売上高(8月21日~9月20日)も同11.1%増と2ケタの伸び。6月の休業明け以来の好調に8月は同4.5%減とブレーキがかかっていたが、再び回復。郊外の独立店が多いため、4~5月も多くの店舗で営業を継続しており「初めてのお客さま、久々のお客さまに来店いただき、6月以降もリピートいただいた」と、9月28日に開催された3~8月期決算会見でも鈴木誠社長は話していた。郊外独立型のしまむらは、都心部閉店のおかげで地元の店に客が帰ってきたのが大きな理由である。

都心型の店舗が多いアダストリアは不振続き

アダストリアは同11.5%減。営業再開した6月に同0.1%減まで盛り返したものの、7月は同19.9%減。そこからじわじわと回復基調にあるものの、2ケタ減が続く。ただし、「回復の手応えはあり、投入量が不足しているというわけでもない。残暑という天候要因による部分が大きい」

ユナイテッドアローズ(UA)も不調

前年に消費増税前の駆け込み需要で売り上げを伸ばしていたことなど複数の要因から、小売りとECの合計売上高が同34.1%減。都心店で通勤ニーズを軸にしてきたブランドや業態は、回復に時間がかかりそうだ。34.1%減と大きく落としたUAは、19年9月が同9.1%増と好調だった反動もある。昨年は消費増税前の駆け込みで売り上げを伸ばしていた。また、昨年は9月12日から自社ECを休業していたことで、自社ECの数字が既存店売上高に反映されていないことなども影響している。「(昨年好調だった分の)反動はあると見ていたが、想定を下回っている。大都市圏店舗の回復の遅れやビジネスニーズの変化は続いており、完全回復にはもう少し時間がかかる」(広報担当者)と見込む。

まず1つ考えられるのは、今後も、アパレル企業の倒産や吸収合併などがあり得る。

アパレルというのは、とにかく製品になるまでのリードタイムが長い。

そのため、多くの企業は、「売れていない」春夏ものの在庫を抱えることになる。

現在、多くの企業がセールを行って在庫の消化を行っているが、それでは企業に利益は残らない。

また、在庫が消化できなければ、企業のキャッシュフローにも問題が出てくる。キャッシュが尽きてしまえばそれは倒産につながるだろう。

レナウンが特殊だっただけではなく、今後、第二、第三のレナウンが生まれても何ら不思議ではない。

さらに、夏をうまく越せたとしても、次は秋冬のシーズンがやってくる。秋冬のシーズンはコロナにおびえながらのシーズンになるだろう。当然各社の商品開発や仕入れは、減らすはずだ。そうすると、店頭に魅力がなくなってしまい、消費者がさらに遠のいてしまうという悪循環が起こってしまう可能性もある。

残念ながら、アフターコロナの目立った施策がない以上、多くの企業にとって、しばらくは厳しい時代が続くのではないだろうか。

ファッション産業は転換期にきているかもしれない

コロナウイルスは、上場企業であるレナウンが倒産するなど、ファッション産業にも多くの爪痕を残した。

そして、旅行や外食と異なり、「在庫」があるビジネスという点で、ファッション産業はさらに苦境に立たされているといえるだろう。

今後、ファッション産業はコロナウイルスの収束とともに復活するのか、それとも低迷を続けるのか。

アパレル業界はビジネスモデルそのものの転換期に来ているといっても過言ではないだろう。